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Rivers of Paradise / TRW / TRW
失恋船長 ★★★ (2025-09-02 13:01:56)
セッション界のスーパースターが揃ったバンドのデビュー作。マイケル・トンプソン、ジョン・ロビンソン、マーク・ウィリアムの3人からなるのだが、そのキャリアに裏打ちされた安心安定のサウンド。ファンク、ソウル、ディスコまで70年代のソロで歌いこなしたマークの確かなパフォーマンス。その情感を込めたソウルフルな歌声は正に職人技、豊かな表現力に引き込まれます。
ギターのマイケルもあらゆるセッションワークで鍛え上げられた手法を遺憾なく発揮、ジャズ。フュージョン系のフレーズまで難なく盛り込み、エキサイディングなギターワークを披露。押し引きを心得た彼のプレイはバンドサウンドの根幹を成すモノであろう。
リズムを司るジョンも正に司令塔、バンドを後ろからガッチリと支え、この守備範囲の広い音楽性を網羅している。流石はスーパーグループだ。

このバンド最大の美点、それはアルバム一枚でメロディックロックスタイルを抑えてくれる。どの曲にも一定の基準をクリア、ハズレ無しの佳曲を並び立てている。マジでアルバム一枚あれば、多くのスタイルをカバーしてくれるのでドライブのお供にはピッタリだ。

その反面、全てにおいてデジャブ感は拭えない。そこが最大の売りであり、器用さから生み出された産物だ。似て非なる、しかし親しみやすさはデジャブ感から誘発されているのは否めない。そこで評価が分かれるだろうが、このテクニシャンによる良質な楽曲と憎いアレンジ、なによりハイパフォーマンスに彩られた楽曲を前にデジャブ感など微々たる問題だと思うのだが、こういうバンドは雑誌のサポート無しにはヒットに繋がらない現状があるのが無念。

良質な音源を求める狩猟本能を高く持っているマニアならば必ずや狙いを定めたスコープに映り込むだろう。ハイテクニックから生み出されたスリル。あとは一発ヒット曲。このバンドの顔となる代表曲に期待したい。アルバム一枚で活動が止り、マイケルはソロに注力したりしているのだが、こちらも聴きたいね。サブスクにもないので、もう知名度上がらんよ。頼むぜ。

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