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Shattering Reflection / Evil Invaders
失恋船長 ★★★ (2025-08-31 14:52:43)
前作から感じさせてくれたスラッシュメタル馬鹿一代からの脱却。その国深き味わいが、強靱なサウンドを伴い劇的に展開する様に目を細めるのですが、今作のオープニングナンバーから、その魅力は炸裂。華麗なるギターワークと疾走感溢れるドラマ、一気に駆け抜けるだけではない工夫がオープニングナンバーとしては完璧に聴き手の想像を超えてきた、例えるならばJPのPAINKILLERのようなインパクトを誇る。
だからこそ②ような楽曲が映える。
全てにおいてテンションの高い演奏と隙の無いアレンジ、その音圧は破壊力だけではない緻密さがあり、純粋なるスラッシュメタルファンにとってはもの足りなさはあるだろうが、このバンドが一つも二つも上のステージに駆け上り、新世紀の正統派サウンドとして高らかに打ち鳴らされている。

ベルギー=辺境などと舐めてかかると大やけどをするだろう。日本などヴィジュアル重視のガールズメタルムーブメントで食いつなごうと、スケベ根性を丸出しの間に、経済のみならず音楽の面でも世界から取り残されそうだ。

緩急を効かせた構成は泣かせのヘヴィバラード③の登場により、彼等のターゲットが見えてくるようだ。懐かしくヘヴィメタルサウンド。それは20000年というフィルターを通しているが、彼等ほど誠意のある音を出しているバンドはいない。キレまくるギターサウンドは柔軟なプレイスタイルを見せつけ、バンドサウンドを巧みにコントロール。そこに鉄壁のリズムセクションが覆い被さり、過激なスタイルを増強。④のようなスピードナンバーで一気呵成に攻め上がる姿にグッとくる。でも⑤では、またドラマティックな曲をかましてくるとは驚きだ。

今作最大の功労者。それはシンガーの成長に尽きるだろう。幅広い楽曲を柔軟に受け止め、逆にバンドサウンドのスリム化、その引き締まったタイトなメタルサウンドを、彼も操縦して見事に乗り込ました。屈曲なるメタル、やはりPAINKILLER時代のJPがいた、真のメタルサウンドを彼等は堂々と披露してくれた。アッパレである。

知性を蓄えた獰猛な肉食獣の如き、獲物を物色する冷徹なる眼差し。ダークヒーロー然として色彩美豊かな音楽性、多方面から支持されるべきバラエティ豊かなサウンドに仕上がった。今作は彼等のターニングポイントとなるだろう。早くも次のアルバムが聴きたいという強烈な渇望感を覚えた。ワシはこの侵略者達に完全に制服されました。

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