オープニングナンバーから勢いのある楽曲の登場に面を喰らっていたら、その勢いは最後まで衰えることなく、このバンドのもつドラマ性を十分に発揮してラストまで完走。2023年の時代を生きる古典メタルの矜恃、その枯渇しないアイデアと失われることのないアイデンティティ、サウンドミックスも分離が良く各パートの持ち味を生かしている。 ヴィンテージ臭漂うリフワーク。エコーの掛かったドラムは這いずるように叩き出され、この魑魅魍魎がうごめくバンドサウンドを決めている。実に古くさい音を今風に作り上げた。 NIGHT DEMONのベースであり、このバンドのベースでもある、復活後のプロデューサーを務めるジャービス・レザービーのバンド愛に対する建設的な姿勢も評価されるべきでしょうね。
本作は「THE WORST HEAVY METAL ALBUM OF ALL TIME」(笑)という、聖飢魔Ⅱの0点レビューの如く、素敵すぎる評価を得たという81年発表の記念すべきデビューアルバム。 ジャケットは空高く剣を掲げる戦士の図。100点満点のカッコ良さです。 音の方はというと、PARADISE LOSTとは比較にならないほどの薄っぺらさで失笑。ベースの音など結構聞こえるのですが、チープな音作りのため、結局ペラペラ(笑)当時としても、この音の薄さは稀有なものでしょう。 楽曲もまだコンパクトなものが殆どで、そんなに大仰でもありません。しかしコンパクトながらもドラマティックな楽曲構成、ヒロイックファンタジー世界を思わせるインストナンバーを収録するなど、やりたいことはデビュー時からハッキリと定まっているのが分かります。 個人的に、CIRITH UNGOLの最大の個性であるTIMの変態ヴォーカルが、1stから既に本領発揮されていることに感動しました。4th収録の「CHAOS RISING」「FALLEN IDOLS」みたいな名曲はありませんが、正統ナンバー「FROST AND FIRE」、TIMの変態ぶりに悶絶必至の「I'M ALIVE」、初代ファミコンのBGMっぽい「WHAT DOES IT TAKE」、ドラマティックなインスト「MAYBE THAT'S WHY」など佳曲はありあす。 B級ですから決して万人受けするものではありません。しかしジャンクフードを愛でる心がある人には、本作の良さはきっと分かってもらえるでしょう。